【千鶴視点ver.】



「もう、一さん!また傘を差さずに帰って来たんですね!?」

「ああ…すまない」







一さんがまた全身を雪で真っ白にして帰って来た。

雪の日はちゃんと傘を差して下さいねと毎回口をすっぱくして言っているのに、
面倒なのか濡れる事に無頓着なのか、
持って出かけたそれが本来の役目を果たした事はほとんどない。



もう、今日という今日は絶対にお説教だ。

いつもこんなじゃ心配でこっちの身が持たなくなりそう。






そんな事を考えながら一心不乱に彼の髪を拭いていると、

ふと 目の前の頭半分高い影がゆるり濃くなった。















「!!??」







思考停止。







……何? 何で?? 何が起こったの???

今はこんな…あ、甘い展開になる雰囲気なんてこれっぽっちもなかったはず!




一瞬誤魔化されたのかと思って。
緩みそうになる頬を必死に押さえつけ、無理やりキッと怒った顔を作ってみせた。





の に











「…もう拭いてはくれないのか?」




そう言って あなたが


ふ わ り 。  と  いたずらっ子のように笑うから











「〜〜〜〜〜〜〜知りませんっ!!」




慣れない虚勢もそれが精一杯。







そして私は 今日もまた


この恋に


深く溺れてゆくのです。







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